皮膚科skin
当院の皮膚科について
ワンちゃんの3頭に1頭は皮膚トラブルを抱えていると言われており、動物においても最も多い病気やトラブルかもしれません。
実際に当院にも、「痒がっている」、「皮膚が赤い」、「毛が抜ける」などの皮膚や被毛での皮膚科症状・疾患でたくさんの患者様がご来院されています。
また、皮膚疾患は症状の原因を特定することが難しく、専門的な経験と知識が必要となる分野でもあるため、当院で特に力を入れている分野として日々、研鑽を行っております。
動物に皮膚病が多い理由は?
動物、特に犬の場合、皮膚の厚さが、人の3分の1~5分の1くらいの厚さしかない為刺激に弱く(人は約1.5~4mm程度(表皮+真皮)とされる)、また動物の皮膚は人間の皮膚よりたくさんの被毛に包まれているので、ほこりや汚れがつきやすく、皮膚病にかかりやすい環境にあります。
更に、動物は自分でお風呂に入らないので、アレルゲン物質や汚れを取り去れず、かゆい場合は自分で噛んだり引っ掻いたりして悪化させてしまいます。
この為、動物は皮膚病にかかりやすいのです。
また、ほとんどの場合において、二次感染(ある病気の為に引き起こされた病気)を複雑に発症しており原発性疾患(根本の病気)がわかりにくくなっている事、この原発性疾患をきちんと治療しないとすぐ再発する事などが皮膚病治療を難しくする要因になっております。
Ph | ターンオーバー | |
---|---|---|
犬 | 7.5 | 20日 |
人 | 4.5~5.5 | 28日 |
皮膚科分野で多い症状
- 身体をかゆがる
- 赤いブツブツがある
- 足をなめる
- 眼や耳のまわりが赤い
- 顔、耳、口、のど、首、脇のあたりを掻いている
- においが臭い
- 毛が抜ける
- 皮膚がベタベタしている
- フケが出る
ふくだ動物クリニックでの治療の流れ
- 飼い主様から、飼育環境やフード、発症の時期やこれまでの病歴などを教えて頂き、基本の検査を各種行って、皮膚病の要因を探ります。
- 治療方針が決まったら、飼い主様への説明を行い治療を開始します。
必要に応じて、さらに詳しい検査を行います。
(アレルギー検査や内分泌検査等) - 当クリニックに併設されているトリミングサロンにて薬浴を行います
症状に応じたお薬の入ったシャンプーを処方します
症状に応じて、高濃度炭酸泉を利用します - 症状にあわせて療法食を試していただく事もあります。主に食物アレルギーや環境アレルギーに対する食事療法となります。
皮膚病治療で飼主様に知っていただきたいこと
皮膚病はすぐには治らず、繰り返しやすい病気であるということをご理解して頂いた上で、病気がよくなった後も継続的に経過を観察し、悪くなり始めたらなるべく早くご来院頂くようにお願いします。
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皮膚病は季節や外部環境、遺伝などにより引き起こされ、良い時期と悪い時期を繰り返しやすい病気です。(例えば・・花粉の多い時期にかゆくなりやすいとか)
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最低でも30日間ほど積極的な治療を行います。
(皮膚のターンオーバーが犬の場合21日間かかるので)
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薬用シャンプーによる薬浴は治療です。動物は毛が多く塗り薬が使いにくい上、薬を舐める為、人間でいう外用薬を使用できません。その為、薬用シャンプーは院内処方の治療薬になります。病状にもよりますが、最初の1か月程は通常週1~2回必要です。
薬用シャンプーは適切な使い方が必要です。
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よくなった後の皮膚を保つスキンケアも大切です。ご相談ください。
皮膚科の診断・検査
皮膚病の主な原因には、細菌・真菌・寄生虫などの感染症、生まれつきの体質、アレルギー(ノミや食事、アトピーなど)、免疫異常、ホルモン異常、ストレスなどの精神面、腫瘍などがあります。
症状は同じでも原因は様々です。単一の場合もあれば、複数の要因が重なっていることもあります。
これらの原因を探り改善を行うためには、専門的な検査、適切な診断、適切な処置が必要となります。
当院では内科的療法と合わせてトリミング部門と連携した薬浴などのシャンプー療法も行っております。
皮膚科の検査
検査名 | 検査の目的 |
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くし検査 | ノミ取りくしで体表をすき、毛や鱗屑(フケ)、ノミの糞・虫体の検出を行う検査です。 |
被毛鏡検 | 採取した被毛を用いて鏡検し、被毛に寄生する寄生虫の検出(マダニ・シラミなど)を行う検査です。 |
培養検査 | 被毛や鱗屑などを採取し、真菌を培養検出する検査です。又、細胞を培養し、膿胞を培養し、薬剤感受性試験を行います。 |
押捺検査 | スライドやセロハンテープを皮膚に押し付け、染色鏡検し、マラセチア・真菌・細菌の有無と種類などを検査します。 |
皮膚掻爬検査 | 皮膚を掻爬し、鏡検してニキビダニやヒゼンダニなどの検出を行う検査です。 |
一般血液検査 及び 内分泌検査 |
皮膚病の原因の特定のために血液検査を行います。ホルモン測定により甲状腺機能低下症やクッシング症候群の検査を行います。 |
血清特異的 IgE抗体検査 (アレルギー検査) |
アトピー性皮膚炎の原因の特定のために、血清中のアレルゲン特異的IgE抗体を測定する検査です。 |
リンパ球反応検査 | IgE検査ではわからない、リンパ球が反応する食物アレルゲンを検出する検査です。 |
ウッド灯検査 | 暗室でライトを当て真菌の検出を行います。 |
皮膚生検 | 自己免疫疾患や腫瘍(皮膚型リンパ腫)等を疑う場合は皮膚の一部をくりぬいて病理検査を行います |
各症例
犬
病名 | 状態 |
---|---|
ノミアレルギー性皮膚炎 | ノミの寄生によるアレルギー症状 |
疥癬(かいせん)症 | ヒゼンダニが皮膚の中に寄生し、フケと強い痒みを伴う |
犬毛包虫症 (ニキビダニ、アカラス) |
もともと常在しているニキビダニが免疫力低下等により増殖し皮膚炎やかゆみ、フケ等の症状をひきおこす |
膿皮症 | 常在菌や常在菌を含む細菌感染により円状に広がるようなフケと赤みを伴う脱毛。痒みを引き起こす |
マラセチア症 | マラセチアという真菌の増殖により痒みや脱毛を引き起こします。主にべとついた皮膚に発生する |
アトピー性皮膚炎 (環境アレルギー) |
アレルゲンが環境中にあることによって、体内の免疫機構が過剰に反応するため生じる痒みや脱毛 |
食物アレルギー | 食べ物が原因で起こるアレルギー症状 |
クッシング症候群 | 副腎からコルチゾールが分泌される。多飲多尿、脱毛、皮膚の石灰沈着や、肝臓が腫れる、皮膚が薄くなることによる腹部の膨満など |
甲状腺機能低下症 | 甲状腺ホルモンの減少による代謝の低下から元気がなくなり、肥満、脱毛(鼻と尾)、などがみられ膿皮症などが治りにくくなる。 |
皮膚型リンパ腫 | 脱毛や赤みなど皮膚炎と似た症状のため、脂漏症、アトピー性皮膚炎、膿皮症と間違われやすく、抗生物質を始めとする皮膚病薬に反応しないことで初めて疑われる。早期治療が望ましい |
好発種犬種
フレンチブルドッグ
柴犬
シーズー
ゴールデンレトリバー
猫
病名 | 状態 |
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皮膚糸状菌症 | 円形の脱毛や皮膚の赤みを伴うフケ、痒み、かさぶたなどの症状がおこる。人にもうつることもある。 |
ノミアレルギー性皮膚炎 | ノミの寄生による激しいかゆみや脱毛がみられ、主に背中のラインに沿って2mm大の発疹がみられる。 |
猫疥癬症 | ヒゼンダニによる頭部や全身の激しい痒みと脱毛が特徴。人にもうつることもある。 |
頭頸掻爬痕 | 頭部から首回りにかけて強い痒みがあり、掻き壊して出血を引き起こす症状。原因は感染症やストレス等。 |
食物アレルギー | 食べ物が原因で引き起こされる、皮膚の痒みや赤み、脱毛などの皮膚症状や、下痢や嘔吐などの消化器症状もみられる。 |